むりしない農家(仮)のブログ

無理をしないことに決めた農家(仮)のブログです。

むりしないニートの雨読

こんばんは!むりしないニートです。あと187日で農家になります。

 

昨日と今日は久々に文庫本を読むまとまった時間がありました。

今回読んだのは、原田ひ香さんの『三千円の使いかた』です。新聞広告でよく見かける、2022年年間ベストセラーらしいです。

天邪鬼なのであまり好んでベストセラーは読まないのですが、好きな作家さんなのでずっと気になっていました。『ランチ酒』シリーズで初めて読んだときから、この方の描く人間がすごく好きだなあと思っていました。

 

この小説は6話からなる短編集のような構成で、でも通して読むとつながったひとつの家族のお話になっています。

どのお話にも共通しているのが、お金にまつわる不安や問題を抱えた人が、自分の人生を見つめ直して少し変わっていくという点です。

そう、タイトルにあるとおり、お金の使い方が人生の使い方と言っても過言じゃないというのが、この物語の大きなメッセージの1つなんじゃないかと思いました。

生きているだけでお金はかかります。お金を稼ぎ、使うことは、現代社会では生きることとほとんど切り離せません。だから考えずにお金を使う人は、考えないで生きているのと同じようなもんだ。そう言われている気がしました。

会社をやめてニートになって、無理しない働き方を実現するために起業を考えている。家族との関わり方も考えたいと思っている。そんな自分のタイミングにドンピシャなお話で、すごく良いカロリーになった感じがします。

自分で給料が決められる仕事をするだけに、自分の欲しい金額をはっきりさせる必要がある、というのがここ最近のマイブーム話題です。

 

原田ひ香さんの何が好きかって、人間の些細な好不調のゆらぎをつぶさに描かれているところです。ちょっとした一言を聞いたり、あるいは一言がもらえなかったり、くらいのことで人ってわりと情緒が揺れると思うんです。

大きな事件があるわけじゃなくても急に不安になったり、一方で大した行動は起こしてないのに妙にすっきりしたり。前向きと後向き、楽観と悲観、どっちかだけで構成される人間なんかいなくて、みんなその間をマーブルに行ったり来たりしてるんだよな〜それで大丈夫なんだよな〜って、原田さんの描く人を見ると安心するんです。

 

とか言いつつ、本作で一番印象に残ったのは垣谷美雨さんによる解説の一部でした。

途中で何度も立ち止まり、「他人は他人、自分は自分」と自分に言い聞かせることで、理不尽から来るやるせなさや嫉妬を呑み込んで、翌朝には本来の自分に立ち戻る--それを繰り返して人は生きていくのだと思います。

結局私はたぶん、「他人は他人、自分は自分」と誰かに今、言われたかったんだと思います。他人の人生や感情に引っ張られすぎてはいけない。同時に、自分の人生に人を軽率に引っ張りこんでもいけない。一見寂しいようで、でも気の引き締まるスローガンです。忘れずにいよう。

 

たまに違うこと書くと楽しいですね。読んでても楽しいぞって方はまた読みに来てください。それではおやすみなさい!